漁師

漁師

漁師の仕事

海産物で生計を立てているのが漁師です。
漁師の仕事である漁業には、大型の船で世界中の海へ行き、半年から1年以上かけて漁を行う「遠洋漁業」。
日本周辺の海で1回の漁が1日から数週間の「沖合漁業」。
港に近い海で日帰りの漁をする「沿岸漁業」の3種類があります。
日本の場合、沿岸漁業を営む漁師が多く、色々な種類の船や網を使い魚をとり生計を立てているのです。
沿岸漁業の場合、網や釣り竿での漁、船の操縦、魚の仕分け、市場への出荷、船や網の掃除・整備など、さまざまな仕事を行っています。
昔と比べ魚群探知機の使用や網の巻き上げを機械で行うようになり、効率化されるようになりました。

漁師の1日の流れ

漁業には主に3種類ありますが、今回はイメージを持ちやすい沿岸漁業の定置網漁業における1日の流れを紹介します。

4:00~ 起床。出港し漁場へ向かう
5:00~ 漁場で網を引き揚げる
7:00~ 帰港し、釣りあげた魚の選別、船や網の清掃・整備を行う
11:00~ 食事
12:00~ 休憩・自由時間
19:00~ 就寝

沿岸漁業の場合、地域によって獲れる魚や漁の方法、港を出る時間などが異なります。
休日は漁業協同組合で決められた日や、海が荒れて漁船が就航できないで日です。
また、魚市場が休みの日の前日を休日とするところも増えているそうです。
漁を行う時間帯が早朝、もしくは深夜が多い理由は魚の習性にあわせているためです。魚には朝活発に捕食するタイプ。夜活発に捕食するタイプ。時間帯に関係なく活発なタイプがいます。
あとは朝の市場に出すためです。市場では朝一番にセリを行い、それから業者が各店舗に魚を扱い始めます。
この市場に鮮魚を出せるようにするために深夜・早朝の漁が多いのです。

漁師の推定年収

漁師の年収は、およそ200~800万円と幅が広いのが特徴です。
漁師には「遠洋漁業」「沖合漁業」「沿岸漁業」に分類されますが、それぞれ年収が異なります。

遠洋漁業:600~800万円
沖合漁業:400~500万円
沿岸漁業:200~300万円

上記は平均年収となりますが、マグロやカニのような高価な品種の場合、年収が1,000万円を超える漁師もいます。

漁師に向いている人はどんな人?

前提として漁師は海に対して深い愛情や関心を持っていないと続きません。
そして、漁業は肉体的にも精神的にも過酷な環境で行われることが多いです。
長時間労働、重い漁具の操作、厳しい天候条件への適応が必要です。
また、漁師はしばしば不確実な状況に対処しなければならないため、忍耐力とストレス耐性も必要です。

そして、漁はチームで行われることが多いです。
船の運航や漁獲作業は協力が欠かせず、チームメンバーとの円滑なコミュニケーションと連携能力が求められます。
仲間との協力が成功の鍵となります。

漁師のやりがい・楽しさ

漁師の仕事はある意味、天候や魚との戦いといえます。
天候や魚の習性を読み解きながら、漁で狙っていた魚が大漁だった場合、一番やりがいを感じます。
また、取れた魚が市場に並び、高い値段がつく、お客さんに評価してもらえることも喜びにつながるでしょう。
さらに近年では漁師が直接魚を販売したり、魚料理を指導したりといった取り組みが行われています。
こうした取り組みの中で直接消費者とつながることで、魚を食べる人の生の声を聞けるようになりました。

漁師として働くためには

漁師とは言っても、漁業種類や地域によって働き方はさまざまです。
そのため、漁師として成功するためには綿密に準備しなくてはなりません。
これから紹介する手順を参考に進めていくことをおすすめします。

情報収集する

まず初めにどのような漁師になりたいのかリサーチしましょう。
漁師といっても遠洋漁業、沖合漁業、沿岸漁業のいずれかを目指すのか、どのような働き方を希望するのかによって変わってきます。
セミナーや求人を通して、自分がなりたい漁師像をイメージするといいでしょう。

研修や漁業体験に参加する

これから漁師を目指す人向けに農林水産省が研修・漁業体験を提供しています。
直接漁師の話を聞いたり、漁業体験などに参加したりすることも、情報収集の一つです。
また、地域によっても漁業や獲物が違ってきます。
実際の仕事や生活スタイルについて、現場に足を運び、漁師の声を聞いて、自分にあった漁業を見つけましょう。

求人情報を探す・資格取得

自分の目指す漁師がイメージできたら、求人情報を探してアプローチします。
面接や乗船体験などを経て採用が決まるケースが多いです。
求人情報については、「漁師.jp」の求人情報が充実しているので、チェックしてみてください。
直接、漁協組合や漁業会社にアプローチする方法もあります。漁業就職支援フェアなどで、採用意向のある漁協や漁業会社が出展するので、採用状況の確認が可能です。

参考:漁師.jp:全国漁業就業者確保育成センター

資格については小型船舶操縦士免許や海上特殊無線技士免許の取得を目指すことになるでしょう。
これらの資格は細かく区分されているので、必要な範囲での資格を取得するようにしてください。

漁師になったら

漁協や漁業会社への就職が決まったら、漁師ライフの始まりです。
漁師になるのは漁師の子供という時代もありましたが、今は未経験で地元出身ではない方が漁師になるのが当たり前の時代になりました。
地域によってローカルルールがあるので、そういったことを守りながら漁師ライフを送りましょう。

漁師に必要な資格・学歴

船長が操舵する船に乗って漁をするのであれば、漁師は学歴・資格は問われません。
自分で漁船を持ち独立したい、職場で強みを発揮したいのであれば、漁船を操縦するためには「小型船舶操縦士」が必要です。
さらに「海上特殊無線技師免許」も海に出てからの無線による情報交換を行うために必要になってきます。
そして、商売として漁業をするためには「漁業権」を取得しなければなりません。

小型船舶操縦士

小型船舶操縦士とは船舶を安全に操縦し、運航するための資格です。
免許区分はボート・ヨット用の一級、二級と水上オートバイ用の特殊の3区分になっています。
漁師に必要な漁船を運転するための免許が一級、二級小型船舶操縦士免許です。
一級も二級も操縦できる船の大きさは同じですが、操舵できる海域が異なります。浜や港からそれほど遠くない内水面漁業や沿岸漁業なら二級小型船舶操縦士免許でも可能です。
ただし、沿岸漁業より沖合に出て200海里内にて操業する沖合漁業や海外の海で漁業を行う場合は一級小型船舶操縦士免許が必要になります。

二級小型船舶操縦士免許は満16歳以上から取得可能で、取得すれば海岸から5海里(約9km)以内での船舶の航行が可能となります。
運転できる船舶は20トン未満です。
取得にはスクールに通い学科と実技の講習を修了するか、国家試験に合格する必要があります。
また、身体検査結果が審査に含まれており、視力、聴力、その他に疾病がないかを調べます。

一級小型船舶操縦士免許は満18歳以上から取得可能で、取得すればすべての海域での船舶の運航が可能となります。
運転できる船舶は二級と同じく二トン未満です。
免許も二級と同様同じく講習を修了するか、国家試験に合格する必要があり、身体検査もあります。

海上特殊無線技師免許

小型船に無線機を設置するために必要な資格です。無線に関する資格は23種類ありますが、海上特殊無線技士は、海上関係の無線局の無線設備の操作を行うためのものです。
無線は万が一のトラブルや漁をする上での情報交換など、海上で連絡を取り合うために使います。
漁師の場合、海上特殊無線技士の中でも第一級か第二級を取得することが多いそうです。
大まかな違いとして一級は国際航海にて無線を操作することが可能になります。国内航海のみの場合は二級を取得することになります。
海上特殊無線技師免許は学校やスクールなどで養成講座を修了するか、国家試験に合格すると取得できます。

漁業権

漁業権は特定の資格ではなく、「一定の水面において特定の漁業を一定の期間排他的に営む権利」として漁業において権利や許可を意味します。
漁業権は地域によって異なり、漁業の運営や規制に関連する法律や規則に基づいて設定されます。
勘違いされやすいのですが、水面をあらゆる目的のために独占的に使用したり、水面下の敷地を使用する権利ではありません。

漁師Q&A

女性でも漁師になれる?

女性の漁師は現状、多くありません。魚を獲るよりも陸上業務の担い手として役割が求められています。
また、体力面でも漁師として女性が一生働き続けるには難しいかもしれません。
しかし、だからといって女性が漁師になれないわけではなく、男性と同じように活躍する女性漁師もいます。
政府も漁業や水産業で活躍する女性を後押しする「漁業女子」をPRする動きも始めています。

漁師は船酔いしないの?

漁師でもなりたては船酔いして当たり前です。
だからといって船酔いで動けなくては、仕事になりません。
そのため、船酔いで苦しくても動く必要があります。
何度も何度も荒れた海に出るうちにいつの間にか船酔いに慣れていくのです。

漁師になってからのキャリアアップは

沿岸漁業の場合、親方漁師に弟子入りして将来独立するか、漁業会社に就職してキャリアを積むかが主です。
漁業会社に乗組員として何年か働いた後、独立する人もいます。
独立するには資格や免許の取得だけではなく、漁業組合の組合員になることが必須です。

沖合・遠洋漁業の場合、経験を積み幹部職員を目指すか、中・大型船の乗組員となって働くケースがあります。
資格を取得し自分のキャリアに磨きをかけていきます。

現在働いている漁師の高齢化などで漁師が減っている漁業共同組合では、次の世代の漁師を育てるための仕組みを作りサポートしています。
そのため、漁業に関心があるのであれば、一度チェックしてみることをおすすめします。